『KGBの男 冷戦史上最大の2重スパイ』

  • 2020年9月6日
  • 2020年9月6日
  • Lifehack

今回おすすめするのはこちらです。

ボクはあまりにも面白くて、一気に読みたいと思い有給を取って読み終えた。

スパイ小説といえば007シリーズや、ジョン・ル・カレの著作が有名だが、『KGBの男 冷戦史上最大の2重スパイ』はノンフィクションである。

著者のベン・マッキンタイアーは、他にも

 『ナチが愛した2重スパイ』

 『ナチを欺いた死体』

『英国2重スパイシステム』などの驚くべき世界を描いた著書を出している。

 

本書『KGBの男 冷戦史上最大の2重スパイ』で描かれているのは、オレーク・ゴルジエフスキーという、KGBのエリート将校である。

 

ゴルジエフスキーは、実は10年以上も英国側のスパイとして活動をしていたのである。

 

そんなゴルジエフスキーは、父も兄もKGBで働く生粋のKGB一家に生まれ育つ。

しかし、ベルリンの壁建設とプラハの春に対するソ連の軍事介入にショックを受け、共産主義体制に疑問を抱くようになる。

同時にデンマーク支局で西側(資本主義側)の暮らしを経験し、文化を受け入れ、民主主義こそあるべき体制だと思うに至る。

そんなときに英国MI6の諜報部員が接触し、2重スパイとなる。

 

以降は北欧や英国で活動するソ連のスパイの存在を暴露したり、英国側に当時のソ連の思考を冷静に分析し、英国側に伝える。

当時の英国首相サッチャーはゴルジエフスキーの政治的な助言や彼の危険を顧みない立場での活動にいたく感心し、英国は生涯身の安全を守らなくてはならないとの判断を持つ。

 

また、当時サッチャーとソ連の指導者ゴルバチョフの会談に際して、双方に会談成功に向けての助言を与えて、両国の和解の貢献する。

 

当時のソ連がどれだけ危険な思想を持っていて、指導者の一方的な思い込みによって核による先制攻撃を現実的に検討していたのには驚愕する。

しかし、スターリンの無差別な粛正の過去を持っているので、裏切り者の疑いを持つ者がいても暗殺など行わず、自白や裁判の結果に従うといった側面も描かれている。

 

本書のクライマックスはゴルジエフスキーの脱出劇だが、このシーンは過去のスパイ小説なんかよりよっぽどスリリングだ。

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